犬の胆嚢破裂

症例内容

トイプードル、9歳、雄の症例です。
5日前から急に元気食欲不振、かかりつけにて胆嚢破裂を疑われて紹介来院されました。胆嚢破裂は致死的で緊急性の高い病気です。この症例は幸い、比較的安定した一般状態で来院されました。血液検査では肝胆道系酵素(ALP、ALT)の上昇、炎症マーカーの上昇が認められました。腹部超音波検査にて胆嚢壁の肥厚と胆嚢周囲の液体貯留を疑う領域が確認され、当院の検査でも胆嚢破裂が疑われました。

図1

胆嚢破裂は内科治療のみでの改善が難しく、緊急的な外科対応が必要な疾患です。本症例では、飼い主様への説明を行った上で、翌日CT検査及び外科手術を行いました。
CT検査・開腹下にて拡張・破裂した胆嚢と総胆管が確認されました。

図2

図3

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破裂によって漏れ出た胆嚢内容物は、破裂部位が肝臓に囲まれていたことと粘ちょう度が高かったことにより、腹腔内全域には広がらずに済んでいました。胆嚢摘出を行い、総胆管の開通性をフラッシュにて確認し、手術終了としました。
摘出した胆嚢と胆嚢内容物は以下の写真です。

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図6

術後は抗生剤投与、輸液等による集中治療を行い、約1週間で退院しました。退院2週間後に行った血液検査では肝数値も下がっていることが確認されました。

犬の胆嚢破裂は、胆嚢粘液脳腫や胆嚢炎などを背景に発症することが多く、早期診断・早期手術が予後を左右します。この症例は奇跡的に状態が安定していてスムーズに回復してくれましたが、胆嚢破裂症例の中にはそうはいかないことも往々にしてあります。元気消失や食欲不振などの症状を見逃さないようにすることや、定期的な健康診断を行うことが重要と思われます。